僕が踏み躙ってきた愛情と日常の総て

ゲイ。アラサー。フリーター。こんな僕の日記です。

手に入る筈の愛情

iPhoneの画面には、Lineの通知が表示されていた。

なんとなく誰からなのかは分かっていた。

画面をスライドさせてLineの画面を開く。

『今日はバイトどう?ペン戻ってきた?』

予想通り、メッセージは賢一からのものだった。

賢一というのは、ひょんな事からネットで知り合い、

LINEのIDを交換してから毎日のように

LINEを通じてやり取りをしている、

同じくゲイの男だ。7歳年上の30代。

背が高いそうで、身長は190近いという。

かなりいい仕事をしていて、

僕とは真逆の人生を歩んでいる。

貰った画像を見る限りではあるが、

男っぷりもなかなか悪くない。

そんな賢一が何故僕のような奴を

相手にしているのだろうかという疑問はある。

だが、しかし。

実際のところ、賢一に強く惹かれている

自分を否定出来ずにいる。

会ったことも無いのに。

僕はどこまでも馬鹿げていた。

メッセージに既読を付けてしまったので

返信を送る。

『今日はバイト休みだったよ』

『そうだったんだ! 何してたの?』

『うーん、溜まってた家事とか。

それと、多分ペンは返ってこないと思う』

多少の嘘は交っているが、

こうして賢一とやり取りをしている時だけは

少し気が晴れる。唯一のひと時だった。

『どこか出掛けたりしなかったんだ』

『最近は家に篭ってる事が多いね』

『あと、ペンはどうしてそう思うのかな?』

『みんな僕の事が嫌いだから』

IMG_4342.jpg

そう。誰もが僕を嫌っている。いや、憎んでいる。

どこへ行っても、常にその感覚が拭えない。

誰もが手に入る筈の愛情が、僕にだけは無い。

友情とか。恋情とか。家族愛とか。

僕だけは、何故かそれらを手に入れる事が出来ない。

そんな気がしていた。

家から出なくなったのは、もしかしたら

金銭的な理由だけでなく、そういった感覚も

原因にあるのかも知れない。

賢一とのやり取りを通じて、

ふいに自分の心の奥底にある確信に触れた気がした。

『またそんな事言っちゃって。

 駒くんの悪いところだ。

 ま、一応言っとくけど、

 少なくとも俺は嫌いじゃないからね。

 安心した?』

僕は苦笑しつつ返事を打った。

『ちょっとだけね』

『なら良かった。

 じゃ、仕事戻るね!』

賢一の夜は遅い。今夜も彼は終電帰りだろう。

高給取りだが自由な時間が皆無の賢一と、

自由な時間は多いが貧困に喘ぐ自分と

どちらがマシか、度々二人で話題にする事がある。

結局答えは出ないのだが。

それでも、当然賢一の方が立派であることに違いないし、

誰かから愛される機会のある賢一の方が

よっぽど優れている人種であることは確かだ。

愛は経済力の元に集まる傾向があることを、

ある時貧しさの中で僕は覚えたのだった。

豊かさから遠く離れた地位にいる僕に、

愛情が手に入る日は訪れるのだろうか。

いつかのシンデレラのように。

或いは、いつかのジュリア・ロバーツのように。

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