僕が踏み躙ってきた愛情と日常の総て

ゲイ。アラサー。フリーター。こんな僕の日記です。

望みの無い夜風 中編

亘にサイゼリヤで散々ご馳走してもらった。

店を出た僕達は、とりあえず新宿二丁目

出ることにした。

終電はもう出てしまった時刻だった。

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ビッグスビル脇の道から仲通りの交差点に出て、

亘と二人で夜の二丁目を歩いた。

途中でルミエールに寄り、Badiを立ち読みしたり

DVDなどを物色した。

あるDVDを手にとって見ていると、

亘はメインのビデオモデルを指差し、

これ、俺の昔の彼氏。と小さく言った。

僕はそっとDVDを元あった場所へと戻した。

ルミエールを出て、話し合った結果

僕達は『F』へ行くことになった。

亘はここでも全額奢ってくれるという。

僕は正直余り気乗りがしなかった。

こんな風に亘と二人仲良く連れ立って『F』へ行けば、

亘を狙っている常連、そして店子やママからの

強烈な冷遇を受けるのは明白だった。

亘にも気を遣わせることだろう。

だが、『F』へ行こうと言い出したのは亘だ。

今夜は亘の気の済むように付き合うと伝えていた手前、

異論は唱えず、覚悟を決めて『F』へと向かった。

亘の背を追い『F』の入っているビルの階段を登る。

狭く急な階段であるため、二人とも中々早く登れない。

ようやく二人とも登り終え、

亘は『F』の扉に手を掛けた。

だが、何故か亘は扉を開けようとしない。

常にお気楽なイメージのある亘にしては珍しく

神妙に考えている表情だ。

そして亘は言った。

「やっぱり今日はやめよう。

 『F』はやめとこう」

そう言うと亘は僕の脇をすり抜けて、

階段を下りていってしまった。

慌てて僕も階段を下り、亘の後を追う。

亘は『F』の入っているビルを出ると、

すたすたと歩いて行ってしまった。

僕はその後を追う。

ビッグスビル裏手にある駐車場の辺りに

着いたところで、亘は暗闇の中にある

ガードレールに腰掛けた。

「どうしたんですか」

「うーん。

 なんとなく」

暗闇に居たため、表情は伺えなかったが、

亘の話す声の調子はいつもと全く同じ感じだった。

だが、何やらいつもとは異なった亘の様子を

察し取り、僕は訊ねた。

「何があったんですか」

「今日は駒ちゃんとサシで話したいって言ったじゃん。

 でも、よく考えてみたら、『F』だと

 絶対邪魔が入るだろうなーって思ったの。

 そんだけ。

 だから、これからどうしようかなって」

夜の喧騒に対し、話し声は小さくなっていった。

小声で話し合う二人の間を、秋の夜風が通り抜ける。

まだ10月だが、サイゼリヤのワインで得た酔いを醒ますには

充分な程の冷たさを孕んだ風だった。

僕は軽く身震いした。

「んー、冷たくて気持ちいいね」

「僕は寒いぐらいですよ」

「駒ちゃんって寒がりなんだね。

 これぐらいなら、俺だったら外で寝ても

 ちょうどいいぐらいだよ」

「風邪引きますよ」

「そうだ!」

亘は何かすごく良い事を思いついたように言った。

「今夜は外飲みにしよう」

(すみません。また続きます。次回で最後です)

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