僕が踏み躙ってきた愛情と日常の総て

ゲイ。アラサー。フリーター。こんな僕の日記です。

夜に紛れて

バイトの帰り。今日も寄り道をして帰る。

S×から数駅間電車に乗って下車し、

駅前のバス停に停車中のバスに乗り込んで、

バスの運転手に声を掛けた。

「すみません。一日乗車券下さい」

「構いませんが、この時間からで

 大丈夫ですか?

 あまり時間がありませんが……」

「はい、大丈夫です」

そう伝え、僕はバスの一日乗車券を購入した。

このバスは、この駅からレインボーブリッジを経由し、

お台場内を巡回してまたこの駅へと戻って来て、

再び最終便となる21時頃まで

同じルートを巡り続ける循環バスだ。

そして、この一日乗車券を持っていれば

常に乗り続けていても問題ない。

この時間から乗っても、循環し続けていれば

乗車券代の元は取れる。

僕はこのバスに乗り続け、

都会の夜景をバスの車窓から眺めて

ぼんやりしようと思ったのだ。

こうして夜に紛れ込んで現実逃避する事も、

僕の精神を安定させる方法の一つでもあった。

陽が落ちるのが本当に早くなったもので、

夕方と呼べる時間帯だがもうかなり暗い。

これなら存分に夜景が楽しめそうだ。

僕の思惑通り、バスの車窓からの眺めは

望み通りの夜景だった。

ビルの窓の明かり。車のヘッドライト。

やがて海のはるか上を円を描くように出来た路を通過すると

バスはレインボーブリッジへと突入し、

徐々に観覧車のイルミネーションやフジテレビ社屋等が

見えてきた。

お台場に到着してからは、多少退屈なものだった。

元来お台場内の観光用バスであるため、

停車する間隔が短くなるのだ。

それでも、現実逃避をするには充分なひと時だった。

週末に覚えた淋しさも、

今日も受けたバイト先での酷い扱いも、

賢一とのいざこざも亘との不思議な巡り合わせも、

この時ばかりは忘れられた。

ただ一つ、頭を過るものがあった。

整骨院の院長先生の事だ。

昨日、頭を撫ぜられた時は本当にどきどきした。

そして、あの低く甘い囁きときたら。

あれだけいい男にああされれば、

ゲイであれば誰でも僕のようになるだろう。

そんな事をぼんやりと思い巡らせている内に、

あっという間に最終便になってしまった。

景色を目に焼き付けようと、

ひたすら車窓の外を見つめ続けた。

色んなビルに灯る蛍光灯の明かり。

この時間にも働いている人がまだ大勢居るのだ。

それに比べて、僕ときたら。

思わず溜息が出た。

明日もバイトだ。憂鬱この上ない。

今のバイト先が憂鬱なのか、

バイトそのものが憂鬱なのか。

どちらもあるだろう。

こんな時、優しく抱き留めて、

暖かい言葉を掛けて、

愛を交わせる相手が居たらどれだけいいだろう。

バスを降りた僕の背を、冷たい風が吹き抜けた。

もうじき秋も終わりを向かえ、

本格的な冬が訪れる。

そして、街はクリスマスと年末年始に浮かれるのだろう。

今年も僕はその時期を孤独に過ごすのだろうか。

ふと、淋しくてどうしようもない気持ちが

心を支配した。

でも、どうする事も出来ない。

誰も抱き留めてくれなくても、

孤独であろうとも、

例えどんな目に遭おうとも、

僕は明日、バイトへ行かなくてはならない。

この事実を重く背負いながら、僕は帰路に着いた。

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