僕が踏み躙ってきた愛情と日常の総て

ゲイ。アラサー。フリーター。こんな僕の日記です。

容易く受け入れた理由は

これは金曜日の話の続きだ。

亘と横浜駅まで出て、みなとみらい線に乗り換え、

馬車道駅まで出て、赤レンガ倉庫や横浜港の大桟橋などを

散策して歩いた。

こうして外を歩くのはどれぐらいぶりだろう。

それも人と一緒に過ごすのなんて、

本当に久し振りだった。

天気にも恵まれて、どこも見晴らしが良かった。

真っ暗に曇っていた心に陽射しが射す様な思いだった。

陽が沈んで来て、少し涼しくなってきた頃に

クイーンズスクエアに辿り着き、その中に入っている

スターバックスに入った。

ここでも当然のように亘にご馳走になってしまった。

と言うか、亘とこうして出歩く時、僕は一度も金銭を支払った事が無い。

本当に頭が上がらない。

僕は寒がりなので、カプチーノの大きいサイズを熱めに作ってもらった。

一方の亘は少しぬるめに、と頼んだ上で、何やらシロップを追加した

カフェラテを注文していた。

亘はシロップの追加だけでは飽き足らず、台に置いてある

何やら甘くなるパウダー(バニラパウダーだった様な気がする)を

これでもかと言う程に振り掛けていた。

暖かい飲み物を手に、再び外へ散策に出た。

外は完全に暗くなっていた。

亘に導かれるまま、その後を着いて行く。

クイーンズスクエアの向かいにあるコスモワールドに入ると、

端の方まで連れて行かれた。

小さい子供向けの乗り物があるようなエリアの隅っこに、

うまく死角になり、 かといって従業員以外立ち入り禁止でもなく、

海に面している微妙な場所があった。

亘はそこで止まると、特に何も言わずに自分の飲み物を飲み出した。

僕もまだ暖かいカプチーノを啜った。

しばらく無言の時間が流れた。

日中散々色々喋ったとは言え、僕は少し気詰まりだった。

しかし話題も底を尽きており、何も言えずにいた。

すると亘は僕のシャツの胸元を掴み、自分の顔に僕の顔を近付けた。

亘の唇が僕の唇に触れた。

多少の驚きと戸惑いはあったが、

これは初めての事ではない。

僕は少し体を硬直させたが、すぐに亘の唇を受け入れた。

亘が舌で僕の唇を割り入って僕の口中に舌を挿入させて来た。

ここまで積極的な亘の口付けは初めてで流石に驚いたが、

僕はそれも受け入れた。

亘の舌は甘いカフェラテの味がした。

亘は僕から唇を離すと、ぷいと顔を背けて言った。

「……ごめ、なんか、恥ずかしくなってきちゃった」

僕は何も答えず、またカプチーノを啜った。

亘は僕から顔を背けたまま続けた。

「駒ちゃん、いきなりごめんね。でも、我慢出来なかった」

「そうですか」

それ以上、お互い何も言わなかった。

ただひたすら、ぬるくなりつつあるカプチーノを啜りながら

海を眺めて過ごした。

飲み物が無くなって来た頃、亘が思いついた様に言った。

「ね、やっぱりさ、観覧車乗ってこうよ」

「代わりにお化け屋敷入るならいいですよ」

「げ、マジか。俺、怖いの苦手……」

「僕怖いの好きなんですよ。それが条件です」

うーむ、と悩む亘に、僕は笑ってみせた。

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