僕が踏み躙ってきた愛情と日常の総て

ゲイ。アラサー。フリーター。こんな僕の日記です。

僕が居なければ

二十歳ぐらいの頃、付き合っていた男から

所謂DVを受けていた事があった。

男の名前は航と言って、当時三十歳のサラリーマンだった。

外面は良く、基本的に誰からも尊敬される様なタイプで、

見た目も清潔感があって悪くない。稼ぎも良い。

しかし、密室で二人きりになると暴力を振るい、暴言を吐きつけてくる、

そんな男だった。

そんな男に引っ掛かったまま関係を続けた僕も僕で、

若さ故か、愚かだったと思う。

航と付き合っていた頃は全身に青痣が絶えなかった。

当時の僕はどうしてか、自分に非があるとばかり考え、

どうにか航の機嫌を損ねまいと必死だった。

航も、何もはなっからDV男だった訳ではない。

最初の頃は本当に優しかった。何だって話せた。誰より優しくしてくれた。

まだ幼稚だった僕には、この人よりも自分に優しくしてくれる人は

今後一生現れないだろうと思い込んでいた。

だから絶対に航を手放してはならないと思い込んでいた。

しかし、一度狂ってしまった関係性はどうやっても修正する事が出来ず、

航の暴力と暴言は日に日に増し、強くなっていった。

最終的には一方的に別れを告げられ、

その時、僕は人生が終わったと思った。

それでもその位で人生が終わる事も無く、

ぼろぼろの抜け殻になった自分だけが残ったまま

僕の日常は続いていった。

幾度も死のうとしたが、

日々を過ごして行くにつれ、

いつしか痣は癒え、

ふと気付けばすっかり僕の心から航への気持ちは消え失せていた。

今、航はどうしているだろう。

風の噂で、今は身体を壊して病んでいると聞いた。

仕事も辞めてしまい、もうずっと無職らしい。

打って変わってしまい、当時の良かった面影は薄いと言う。

その話を聞いて、僕は多少の悲しみを覚えたのだった。

僕が航をDVに走らせてしまったのではないかと今でも思う。

僕が居なければ、DVに走る事もなく、身体を壊して病む事も無く

真っ当に生きていけたのではないだろうか。

僕が居なければ。

そんな想いが湧く。

今でも時々、もっと航に愛されたかったと思う。

もう一度だけ抱き締められたいと強く思う。

短かったが、幸せだったあの頃に戻れたらどれだけいいだろう。

そんな風に、今日は思った。

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