僕が踏み躙ってきた愛情と日常の総て

ゲイ。アラサー。フリーター。こんな僕の日記です。

初めての唇で

皆様がこの記事を読まれている頃、
僕はきっと犬飼さんと共に
鳥貴族で安くておいしい焼き鳥を頬張っている事だろう。

 

今日は仕事が暇だったので、会社のPCからBlogを書いている。
22時になったら公開されるように予約しておいた。
 
とは言え、暇なので特に書く事も無い。
 
それにしても今日は寒い。僕は元々冷え性と言うか
極度の寒がりなので、今日みたいな日は特に体に堪える。
 
周りを見渡してみる。
おしゃべりに夢中な女性陣。
ぼんやりと業務と関係ないサイトを眺めている男性社員。
机に突っ伏して居眠りをする上長。
 
Blogなんて書いていたら怒られるかな、と思ったが、
これなら全く心配無さそうだ。
 
これまた暇を持て余した犬飼さんが油を売りに来た。
僕はこんなに寒いのに、犬飼さんはYシャツ姿で、
腕まくりまでしている。
一体彼の体はどうなっているのかと思った。
 
「お疲れっす!」
 
「全然疲れてませんよ」
 
「何してるんすか~?」
 
慌ててウィンドウを引っ込めた。
 
「べ、別に何も」
 
「え~、ちょっとぐらい見せてくれたっていいじゃないすか。
 誰にも言わないんで」
 
「ダメです」
 
「ちぇっ」
 
僕は不意に寒さで身震いした。それを見た犬飼さんが言う。
 
「どうしたんすか?」
 
「寒いんです」
 
「えっ、この気温で!? 俺なんか暑いぐらいっすよ?」
 
「そりゃ、そんだけ筋肉着てれば暑いでしょうね……」
 
「うーん、なんか、かわいそうだなあ。
 ちょっと待っててくださいね」
 
犬飼さんは自席に戻ると、スーツのジャケットを持って戻ってきた。
 
「ほら、これ羽織ってください。
 まだ夏物なんで薄手っすけど、無いよりマシだと思うっすよ」
 
「あ、ありがとうございます」
 
犬飼さんのジャケットを肩に羽織った。
しかし本当に薄手で、気休めにしかならなかったが
心遣いが嬉しかった。
 

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犬飼さんが耳打ちしてきた。
 
「今夜、2人きりで飲みに行きません?」
 
特に断る理由もなかったので、僕も耳打ちし返した。
 
「いいですよ。定時で上がれそうですか?」
 
「今日は暇なぐらいなんで、余裕っす。
 新宿で飲みたいんすけど、いいっすか?」
 
「いいですよ。僕、3丁目のトリキ行きたいんですけど、いいですか?」
 
「自分は駒さんの行きたい所ならどこでもオッケーっす!」
 
それじゃ、また夜に」
 
耳打ちのし合いが終わった。
目ざとくそれを見つけたアルバイトの女子が言った。
 
「犬飼さ~ん、駒さんと何コソコソ話してたんですか~?」
 
「オトコ同士の秘密っす!」
 
「え~、知りた~い」
 
犬飼さんは声を掛けてきたアルバイトの女子の元へと駆け寄っていった。
僕もBlogの続きを書こうとPCに向かい、引っ込めたウィンドウを表示させた。
 
「あ、今ポッキー食べてましたよね?
 自分にも一本ください!」
 
「はーい、どうぞ」
 
ポッキーを貰った犬飼さんが僕を呼んだ。
 
「駒さーん! ちょっとこっち来てくださーい!」
 
正直、過去に女性陣から虐げられていた僕は余り行きたくなかったが、
仕方なしに犬飼さんの元へ向かった。
もしかしたらBlogのネタに出来るような事が起きるかも知れない。
 
ポッキーゲームっす!」
 
げ、と思った。
女子達が黄色い歓声を上げた。
 
「見ててくださいね。
 でも、俺の地元のポッキーゲームは、
 普通のとちょっと違うんす。
 駒さん、咥えてもらっていいっすか」
 
仕方なしにポッキーを咥えた。
 
「で、今度は目をつぶってください」
 
目を閉じる。それと同時に咥えたポッキーを取り上げられた感触があった。
その刹那、柔らかい何かが唇に押し当てられた。
女子達の馬鹿でかい歓声が上がった。
 
目を開いて慌てて辺りを見渡す。
そこには頬を赤らめる女子達と、
僕の眼前で満面の笑みを浮かべた犬飼さんがいた。
 
そして理解した。
犬飼さんを思い切りどついて、僕は何も言わず席へ戻った。
あいつ。次やったらぶっ飛ばす。
 
しかし、今回ばかりはBlogのネタになったので良しとする。
今夜抗議する予定ではあるが。
やれやれ。

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