僕が踏み躙ってきた愛情と日常の総て

ゲイ。アラサー。フリーター。こんな僕の日記です。

世界が背を向け返事をしないのなら その1

酷い目に遭った。
ようやく落ち着いたので、長い話になるが
記事にしようと思う。

 

話は先週土曜日の朝まで遡る。
亘からLineがあった。
 
「昨夜はごめん。やり過ぎた。
 直接顔を見て謝りたい。
 今夜、会えないかな」
 
僕は無視を決め込んだが、昼過ぎになって、
まあ世話にもなってる訳だし、許してやろうと
思い立ち、返信した。
しかし、まだ腹に苛立ちが残っていたので、
敢えて簡素な返事にした。
 
「いいですよ」
 
送った瞬間、ほぼ1分も開けずに返信があった。
 
「ありがとう。
 それじゃあ、18時に新宿駅東南口待ち合わせで
 いいかな?」
 
「解りました」
 
こうして夜、亘と会う事になった。
 
18時00分。新宿の東南口に着いた。
亘の姿を探すも、その長身さからすぐに見つかった。
僕を視認した亘はすっかり落ち込んでいて、
弱々しく手を振って見せた。
 
「お店、予約してあるんだけど、そこでいいかな」
 
「はい」
 
それきり会話は途切れてしまった。
 
亘に連れられて来た店は、
各テーブルが完全に個室になっている居酒屋だった。
亘は恐縮しているのか、すっかり肩を落として
小さくなっている。
 
とりあえず注文した生が届いた。
適当に乾杯して、飲み進める。
亘は中々重い口を開かなかった。
 
僕は対面で向き合って座るよりも
横並びで座って話した方が、相手に威圧感を与えず
リラックスして話す事が出来ると何かで聞いたのを
思い出し、思い切って亘の隣の席へ移動してみた。
 
亘は多少驚いていたが、僕が怒っていない様だと
思ったらしく、その重い口を徐々に開いていった。
 

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「昨夜は悪かったよ。ぶったりしてさ」
 
「もう気にしてないんで、大丈夫です」
 
亘はたどたどしく語り始めた。
 
「俺は――俺はさ、駒ちゃんには、
 もっと自分を大事にして欲しいなって思うんだ。
 だから、自殺とか、ウリとか、
 自分で自分を貶めたり、傷付けたりする様な事は、
 本当に、……本当に止めて欲しいなって思ってるんだ」
 
「どうしてですか
 
「俺が駒ちゃんを大切に思うからだよ」
 
「はあ」
 
「逆にさ、俺がいきなり突然自殺しちゃったら
 どうする?」
 
「どうするって……どうにも出来ないですけど、
 悲しいと思います」
 
「それと同じ事だよ」
 
「そうですか……」
 
「解ってくれた?」
 
「何となく」
 
僕の言葉を聞いて、亘は力無く笑った。
その笑い方が切なくて、胸が苦しくなった。
そして初めて自分の愚かさを垣間見た気がした。
 
亘はいつだって僕の事を気に掛けてくれていた。
その優しさや愛情、厚意を見えない振りをして
逃げ回っていたのは、僕自身の弱さであり、愚かさだ。
それに気付いた僕は、未だかつて無い衝撃を受けて、
身体の震えが止まらなくなった。
この感情を何と呼ぶのだろうか。そして、この震えは。
 
亘は僕が膝の上で固く握り締めた手を開くと
僕の掌を自分の頬に当てて
しばらく頬擦りを繰り返した。
その表情が余りにも愛おしくて、僕は怖くなった。
 
しかし、丁度そのタイミングで料理が運ばれてきて、
店員さんに見られて非常に気まずい空気になった。
僕は慌てて自分の席に戻った。
 
料理をつまんでいく。
亘の箸が一度も動いていない事に気付いた。
そしてその瞳は、実に慈愛に溢れ、
ただ僕を見つめていた。
 
「……亘さん、食べないんですか?」
 
「うん、食べるよ。
 でも、今は駒ちゃんを見てたいなって思ってさ」
 
「食べ辛いですよ」
 
「そうだね。でも、可愛いよ」
 
ようやく亘も箸をつけた。
 

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食事が済み、2丁目へ行く事になった。
 
東南口の脇の坂道を下って
バルトナインを通り越し、
世界堂の裏手に差し掛かった時、
亘は急に僕の手を引いた。
 
世界堂脇の裏道へ連れ込まれた。
亘は周りに誰も居ない事を確認すると、
僕を抱き締めて口付けをした。
自販機の明かりだけが煌々と2人を照らす。
蕩ける様な口付けだった。
 
どれ程唇を重ねただろう。
亘に、そろそろ行こう、と促されたが、
腰が抜けてしまって中々歩けなかった。
 
「今夜はクラブでも行ってみない?」
 
自分は余り乗り気ではなかったが、
たまには良いかと思い承諾した。
 
亘に連れられるがままに、クラブに入った。
土曜の夜とあって、人で溢れ返っている。
皆爆音で流れる流行りのEDMで思い思いに身体を揺らしている。
僕は自分のビールを零さないでいるだけで精一杯だった。
 
そんな中を亘は僕の手を引き、奥へ奥へと進んで行く。
亘は奥まった所で止まると、
自分のドリンクを二口ぐらいで飲み干し、
僕を抱き締めようとした。
しかし僕はビールを零してしまいそうになったので
それを一旦制止し、一気にビールを飲み干した。
即座に酔いが回った。
 
飲み終えた僕の身体を亘が抱き締める。
僕は直立不動のまま、亘に抱き付いていた。
亘は僕を抱き締めつつ、音楽に合わせて
身体を揺らしていた。
 
しばらくそうしていると、突然誰かに後ろから肩を叩かれた。
亘の抱擁を解き、後ろを振り向いた瞬間。
僕の左頬に強い衝撃が走り、
僕の身体は思い切り吹っ飛んだ。
(続く)

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