僕が踏み躙ってきた愛情と日常の総て

ゲイ。アラサー。フリーター。こんな僕の日記です。

裸のままの君に触れていたい

「ねえねえ、駒ちゃん。
 もし俺が浮気したらどうする?」
 
亘はこの質問を僕にするのが好きだ。

 

質問の意図が掴めず、僕はいつも困惑するだけなのだが、
懲りずに度々訊いてくる。
僕を困らせて面白がっているのか、
はたまた本気で浮気したい願望があるのか良く解らない。
 
これは月曜日の夜の話だ。
 
昼間櫻井さんと昼食を取ったが為に亘に会えなかった。
そんな亘がどうしても今夜一目だけでも会いたいと言うので
平日にも関わらず亘の部屋に泊まりに行って、
せがまれて身体を交わした後の出来事だった。
いい加減しつこい。
 
「その質問、好きですね。
 じゃ逆に訊きますけど、僕が浮気したら
 亘さんはどうするんですか」
 
「う~ん、そうだなあ……」
 
「僕、安いし尻軽なんで、
 またこないだみたいに誘われたら
 簡単にウリでもなんでもやるかも知れないですよ」
 
「駄目。絶対許さない」
 
亘は急に深刻なトーンになって言った。
 
「許さないって、どうするんですか」
 
「監禁してどこへも行かせない様にして、
 俺が居ないと何も出来ない身体にする。
 二度と陽の光を浴びさせない」
 
亘は大真面目に、かつ、かなりのアブノーマルな発言をしたので
流石に驚き恐れ戦いた。
 
「ぼ、僕は絶対浮気しないんで、
 そんな事絶対しないでくださいね」
 
「どうかな。それから俺嫉妬深いし、
 何がきっかけでそうするか解んないよ」
 
亘は笑いながら言ったが、目の奥は全く笑っていなかった。
……とんでもない相手と付き合ってしまったかも知れない。
 

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「――それで、話を戻すけど、
 俺が浮気したらどうする?」
 
結局その質問に戻るのか。僕は溜息をついた。
 
「まあ、がっかりするだろうとは思います」
 
「それだけ?
 泣いちゃったりしないの?」
 
「じゃあ、もう、そこから飛び降りて死にます
 
「死んじゃうのか~。それは、どう転んでも嫌だな」
 
「って言うか、もうこの質問どうでも良くないですか?
 お互いに、しないようにしようね、って話で
 いいじゃないですか」
 
僕は流石にいらいらしてきて言った。
 
「まあ、そりゃそうなんだけど……ごめん」
 
「しつこいですよ」
 
「うん……」
 
亘は気まずそうにしつつも言った。
 
「ほら、駒ちゃんってさ、なんていうか、
 俺にあんまり興味無いのかなって思って……。
 だから、その、振り向かせたいって言うか、
 俺の事気にして欲しいみたいな……」
 
「はあ」
 
「……駒ちゃん、俺の事、嫌い?」
 
「嫌いだったら、こんな風になってません」
 
「俺は駒ちゃんの事四六時中考えてるのに、
 駒ちゃんはそうでもなさそうじゃん。
 俺の事なんてどうでもいいのかな~、なんてさ」
 
亘はいじけたような口ぶりで言う。
そんな子供っぽさが、柄にも無く愛らしく思えて、
僕は亘に抱き付いて答えた。
 
「そんな事ないですよ」
 
「本当に?」
 
「はい」
 
僕は急に不安になって、亘に甘えた。
 
「亘さんこそ、僕の事、嫌いにならないでくださいね」
 
「突然どうしたの?」
 
「僕には何も無いんで。
 僕、もし本当に亘さんに浮気されたら、なんにも残らない。
 生きていられない」
 
「――解った。絶対、しない」
 
亘は僕を強く抱き返した。
 
亘の胸に耳を当て、心臓の鼓動を聴いていた。
2人を隔てる物は今はもう何も無い。
布切れ1枚さえも。

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