僕が踏み躙ってきた愛情と日常の総て

ゲイ。アラサー。フリーター。こんな僕の日記です。

明日は昨日よりずっと冷たい

今日は本当に憂鬱だった。 
ただでさえ歩くのが辛いのに、こう雨で足元も悪くなると 
本当にしんどい。 
 
本題に入ろう。 
今日は有給を取って休みにしてあった。 
実はBlogには書いていなかったが、実父から連絡があり、 
今日の昼から会う約束になっていたのだ。 

 

母と離婚してから全く会わなかった訳ではなかったのだが、 

実に●年以上振りの再会だった。 
待ち合わせ場所に現れた実父は流石に年老いていた。 
 
「久しぶり」 
 
「おお、駒。 
 すっかり大人になって。 
 元気そうで何より……と言おうと思ったが、 
 足、どうしたんだ」 
 
「ああ、ちょっと階段踏み外しちゃって。 
 見た目は悪いけど、軽い捻挫だから、大した事ないよ」 
 
 「そうか、お大事にな」 
 
立ち話もそこそこに、実父が予約してくれたレストランへ移動した。 
洋食の多少良いレストランだった。 
コース形式で料理が運ばれて来る。 
 
「今はどんな風に暮らしてるんだ」 
 
「事務のバイトしてる」 
 
「そうか、バイトか……。 
 良い人はいないのか?」 
 
「付き合ってる人は居るよ。 
 男の人だけど」 
 
いきなりのカミングアウトに、実父は面食らった様子だった。 
当然だが。 
 
「まあ、今は時代が違うからな」 
 
そう言ったきり、僕の恋愛関係についての質問はして来なかった。 
 
徐々に打ち解けて会話も弾むようにはなったが、 
お互い確信を突かない、上っ面だけの当たり障りの無い話で盛り上がった。 
 

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食事が終わり、レストランの近くにあった喫茶店へと場所を移した。 
人もまばらで、古ぼけてはいたが落ち着いた雰囲気の店だ。 
窓際の席へと通された。 
 
「それで、今日はどうしたの? 
 わざわざ平日に呼び出すなんて、何か用が無ければしないでしょ」 
 
「ああ、まあな」 
 
言い辛そうに、実父は切り出した。 
 
「再婚する事になったんだ。 
 元々、長い事付き合いはしていたんだが――。 
 事業が軌道に乗るまでは、と言う話になっていた」 
 
「商売が上手くいったんだ。 
 それじゃあ、これから毎月僕に仕送りしてよ。 
 お陰で苦労させられたんだから」 
 
僕は憮然として答えた。 
実父は苦々しい面持ちをした。 
 
僕はずっと思っていた事を問うた。 
 
「どうして僕を捨てたの」 
 
実父は中々答えなかった。 
1口、2口とコーヒーを啜ってカップを置くと、 
それを合図にしたかの様に語り出した。 
 
「お前には悪い事をしたと思っている。 
 お前は母さんに似ていた――余りにもな。 
 それが、当時の俺には許せなかった。 
 馬鹿馬鹿しい理由だと、自分でも解っている」 
 
「似てたって、具体的には」 
 
実父は質問には答えず、続けた。 
 
「せめてもの気持ちだと思って欲しい。 
 お前が望むなら、今からでも遅くない。 
 どこか行きたい学校に入って、 
 資格の一つでも取って――。 
 留学だっていい。 
 お前、高校での英語の成績良かっただろう。 
 金の事なら、何も心配しなくて良いから、 
 今からでもやり直さないか」 
 
「やり直すって、何を」 
 
「……このまま、ずっとバイトで良いと思っているわけじゃないだろう。 
 正社員の話でもあるのか? 
 もしあったとしても、大卒の方が条件も良いんじゃないのか? 
 俺だって、いくら事業が軌道に乗ったからと言ったって、 
 これから先、何十年もあるお前の人生を支えてやる事は流石に出来ない」 
 
「行きたい学校なんてないよ。 
 欲しい資格も無い。 
 留学なんてしたくない。 
 今更過ぎるよ。高校卒業してから何年経ってると思ってんの。 
 遅すぎるね。 
 僕が欲しいのは金だけ。現金。 
 知識も経歴も経験も何にも要らない。 
 現金と、あと、マンションか家が欲しいな。 
 あ、欲しい資格が一個だけあった。運転免許が欲しい。 
 免許が取れたら車も欲しいかな。 
 維持費と駐車場代も宜しく」 
 
僕は冷笑しながら畳み掛けた。 
実父は僕の言葉が頭に来たようで、 
テーブルにコーヒー代を叩き付けるなり 
店を出て行った。 
 
僕は何も感じなかった。 
怒りも、悲しみも、虚しささえも。 
 
窓の外を眺めた。外は雨に濡れている。 
梅雨寒の今日。灰色の空。明日は更に肌寒くなるらしい。 
ぼんやりと、今朝、亘と共にテレビで見た 
天気予報に想いを馳せた。 

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