僕が踏み躙ってきた愛情と日常の総て

ゲイ。アラサー。フリーター。こんな僕の日記です。

ただ、恋をした

ベッドで亘と2人、横になっていた。
 
眠るでもなく、身体を交えるでも無く、
互いを見つめ合って過ごした。

 

ふいに微笑んだ亘が言う。
 
「かわいいね」
 
「そんな風に思えるのは、今だけですよ」
 
「そんな事ないよ。
 10年後も同じ風に思うだろうし、同じ事言うよ」
 
僕は何気なく、亘の頬を撫でた。
亘は一瞬ぴくりとしたが、実に嬉しそうに
僕の手を受け容れた。
 
「優しい手、してる」
 
「亘さん」
 
「何?」
 
好き、と言うその気持ちを伝えたかった。
それなのに、どうしても言えなくて、
僕は言葉を濁した。
 
「……いつも、ありがとうございます」
 
「こちらこそ、いつもありがとう。
 駒ちゃん。大好きだよ」
 
亘は僕の手に頬ずりをした。
その仕草が愛おしくてならなかった。
 

f:id:komadiary:20180617203712j:plain

 
亘の瞳を見据えた。
澄んだ瞳だ。僕とは違って。
しかし、亘はこう言った。
 
「駒ちゃん、綺麗な目してるね」
 
亘の真剣な眼差しに見つめ返されて、
恥ずかしくなり、僕は思わず目をそらした。
 
「そんな事、ありません」
 
「また、照れちゃって」
 
亘は僕を茶化して笑った。
しかし、すぐに真面目な顔付きに戻って
話を切り出した。
 
「駒ちゃん。俺と結婚してくれないかな。
 今すぐじゃなくて構わないから。
 何年掛かってもいい。待つよ。
 駒ちゃんの心が決まるまで。
 でも、俺との結婚を前提に
 この関係を続けて欲しい」
 
夢の様な台詞だ。
男女問わず、亘からこんな風に求められたら
誰だって心揺らぐだろう。
だが、我ながら頑固で石頭な僕は、曖昧に話を聞き流した。
 
亘を軽い男だと思っている訳では決して無い。
きっと亘ならば、僕の理想的なパートナーになってくれるだろう。
一方、僕の方はどうか。
亘の愛情に応えられる自信が無かった。
 

f:id:komadiary:20180617203744j:plain

 
亘は僕の反応に多少落胆したようだったが、
諦める様子は無かった。
 
「……それじゃあさ、せめて、ペアリング作ろうよ。
 2人でお揃いのやつ」
 
今時ペアリングなんて、とも思ったが、
少しでも亘を安心させてやりたくて、
せめてそれぐらいは良いだろうと応えた。
 
「いいですよ。邪魔にならないようなやつなら」
 
「やった、良かった。
 早速今度作りに行こうね」
 
亘はそう言って僕の頭を撫でた。
 
こんなに愛されていて、こんなに愛おしくて。
それなのに、いつ訪れるかも解らない
別れのときの事ばかり考えてしまうのはどうしてだろう。
僕は僕自身が不思議でならなかった。
 
ふいに不安になって、亘の左胸に耳を当てた。
静かで、それでもしっかりとした心臓の鼓動が聞こえる。
間違いなく、亘は今、ここに存在していて、生きている。
それが感じられるだけで、僕は安堵出来た。
 
「どうしたの」
 
「なんでもないです」
 
「駒ちゃん、こうするの好きだね。
 どうして?」
 
「内緒です」
 
僕の返答に、亘は力無く笑った。
 
「どこにも行かないで。ずっと、俺のそばに居て」
 
「……亘さんも、ずっと、僕のそばに居てください」
 
それはもしかしたら、叶わない願いかも知れない。
それでも、今だけはそうお互いに願っていた。

にほんブログ村 セクマイ・嗜好ブログ 同性愛・ゲイ(ノンアダルト)へ