頭が痛い。
ここ数日ずっとだ。
それも今日なんかは割れる様に痛い。
本当は書きたかった話もあったのだが、
今日のところはお休みさせていただきたいと思う。
そう言えば今日も犬飼さんとお昼を共にしたのだが、
ここ最近は連日で僕と一緒にお昼を食べに行っているので、
犬飼さんは他の男性社員から茶化されていた。
「犬飼、今日も駒君と一緒なんだな~。
なんだ? 2人、デキてんのか?」
僕はその発言をした男性社員に鋭く一瞥をすると、
そいつは一気に顔が青褪めていった。
しかし、犬飼さんは意にも介さない様子で、
しかもうきうきとした口調でこう答えた。
「そうっす! 俺達近い内に結婚するんで、
式挙げたら来て下さいね!」
よいしょっ、と、力を入れたと思ったら、
なんと犬飼さんは僕をお姫様抱っこした。
女性社員やアルバイトの女子達が黄色い声を上げた。
「ちょ、ちょっと何考えてるんですか!
止めてくださいよ!」
「へへっ、それじゃあお昼行って来ま~すっと」
犬飼さんはそのまま僕をオフィスから
エレベーターの中まで運んでいった。
スーツ越しにも感じられる程、犬飼さんはガタイが
出来上がって居て、脱いだらかなり凄いだろうなと思ったが、
恥ずかしすぎた。
「全く、本当にバレたらどうするんですか」
「そしたら俺は潔く認めて、責任取って
駒さんを幸せにします」
「なんで結婚ありきで話が進むんですか」
「俺、嫁さんには家に居て欲しい方なんで、
結婚したら専業主婦でお願いしますね」
呆れて僕はため息をついた。
昼食から戻ると、一番犬飼さんを狙っているであろう
女性社員から声を掛けられた。
「……あの、どんな感じでした?」
「どんな感じって言われても……。
あ、でも、彼、すごいマッチョですよ。
僕なんか全然重くないらしいです」
女性社員は羨望の眼差しで僕を見ていた。
僕は心の中で、深い深いため息をついた。